リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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アクリル酸2-ヒドロキシエチル

別   名 2−ヒドロキシエチル=アクリラート
PRTR政令番号 1-6 (旧政令番号 − )
C A S 番 号 818-61-1
構 造 式 アクリル酸2-ヒドロキシエチル構造式
  • アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、アクリル樹脂の原料、接着剤や乳化剤の原料として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、アクリル酸2-ヒドロキシエチルの環境中への排出量は約0.32トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。

■用途

 アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、常温で無色透明の、水に溶けやすい液体で、揮発性物質です。主にアクリル樹脂の原料、接着剤や乳化剤の原料、合成樹脂改質剤の原料として使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、わが国では1年間に約0.32トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてがプラスチック製品製造業などの事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。この他、化学工業などの事業所から廃棄物として約510トンが移動されました。

■環境中での動き

 大気中へ排出されたアクリル酸2-ヒドロキシエチルは、化学反応によって分解され、4.2〜42時間で半分の濃度になると計算されています1)。環境水中での動きについては報告がありませんが、化審法の分解度試験では、微生物分解はされやすいとされています1)

■健康影響

毒 性 アクリル酸2-ヒドロキシエチルは、生物細胞などを使った試験管内における変異原性試験で陽性を示したと報告されています1) 。発がん性については十分な知見が得られておらず、人に対する発がん性の有無については判断できていません。
 雄のラットに体重1 kg当たり1日17 mgのアクリル酸2-ヒドロキシエチルを2年間、飲み水に混ぜて与えた実験では、体重増加の抑制、腎臓の乳頭壊死及び慢性腎症が認められました1)。また、ラットに24 mg/m3の濃度のアクリル酸2-ヒドロキシエチルを含む空気を4週間、吸入させた実験では、肝臓の相対重量の増加や潰瘍性の角膜炎が認められています1)

体内への吸収と排出 人がアクリル酸2-ヒドロキシエチルを体内に取り込む可能性があるのは、飲み水や呼吸などによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、ラットの実験では、代謝されて、主に尿や呼気に含まれて排せつされたと報告されています1)

影 響 食物や飲み水を通じて口から取り込んだ場合について、環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、体重増加の抑制などが認められたラットの実験結果に基づいて、無毒性量等を体重1 kg当たり1日1.7 mgとしています1)。アクリル酸2-ヒドロキシエチルの飲料水中濃度の測定データがないため、地下水の測定データ(検出下限値0.001 mg/L以下)から計算すると、人が飲み水を通じて口からアクリル酸2-ヒドロキシエチルを取り込む量は体重1 kg当たり1日0.00004 mg未満と予測されます1)。これは上記の無毒性量等よりも十分に低く、飲み水を通じて口から取り込むことによる人の健康への影響は小さいと考えられます。なお、環境中のアクリル酸2-ヒドロキシエチルが食物を通じて取り込まれる可能性は小さいと推定されており、これらを加えてもアクリル酸2-ヒドロキシエチルを取り込む量は大きく変わらないと考えられています1)
 また、呼吸によってアクリル酸2-ヒドロキシエチルを取り込んだ場合について、この環境リスク初期評価では、肝臓の相対重量などが認められたラットの実験結果に基づいて、無毒性量等を0.049 mg/m3としています1)。大気中濃度の測定結果はなく、人の健康への影響は評価できていません1)

■生態影響

 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、藻類の生長阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.01 mg/Lとしています1)。これまで得られた河川や海域の水中濃度はこのPNECよりも十分に低いため、この結果に基づけば水生生物への影響は小さいと考えられます。なお、アクリル酸2-ヒドロキシエチルは甲殻類に対する有害性からもPRTR制度の対象物質に選定されていますが、上記のPNECは、PRTR選定の際に根拠とされた知見を評価に加えたものではありません。

性 状 無色透明の液体   水に溶けやすい   揮発性物質
生産量2)
(2010年)
国内生産量:約3,000トン
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.32トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 100
事業所(届出外) 0 公共用水域
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.32トン 業種別構成比(上位5業種、%)
プラスチック製品製造業 72
化学工業 28
電気機械器具製造業 0
事業所(届出)における移動量:約510トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
プラスチック製品製造業 0
電気機械器具製造業 0
PRTR対象
選定理由
変異原性,生態毒性(甲殻類)
環境データ

公共用水域

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/51地点(検出下限値0.00005 mg/L);[2000年度,環境省] 3)

地下水

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/15地点(検出下限値0.001 mg/L);[2000年度,環境省] 3)

底質

  • 要調査項目存在状況調査:検出数1/24地点,最大濃度0.0091 mg/kg;[2002年度,環境省] 4)
適用法令等

 

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献