リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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2,2´-アゾビスイソブチロニトリル

別   名 ABN、AIBN、2,2´-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)
PRTR政令番号 1-16 (旧政令番号:1-13)
C A S 番 号 78-67-1
構 造 式 2,2´-アゾビスイソブチロニトリル構造式
  • 2,2´-アゾビスイソブチロニトリルは、ゴムや合成樹脂の発泡剤、ビニル化合物などの重合の開始剤として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.018トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、ほとんどが河川や海などへ排出されました。

■用途

 2,2´-アゾビスイソブチロニトリルは、常温で白色の固体です。ゴムや合成樹脂の発泡剤として使われています。また、ビニル化合物などを重合する際に開始剤として使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.018トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが化学工業などの事業所から排出されたもので、ほとんどが河川や海などへ排出されました。この他、化学工業などの事業所から廃棄物として約6.1トンが移動されました。

■環境中での動き

 環境水中での動きについては報告がありませんが、化審法の分解度試験では、微生物分解はされにくいとされています1) 。大気中では化学反応によって分解され、4.0〜40日で半分の濃度になると計算されています2)

■健康影響

毒 性 ラットに2,2´-アゾビスイソブチロニトリルを約6週間、口から与えた実験では、肝細胞に肥大が認められ、この実験結果から求められる口から取り込んだ場合のNOAEL(無毒性量)は、体重1 kg当たり1日2 mgでした1)

体内への吸収と排出 人が2,2´-アゾビスイソブチロニトリルを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸によると考えられます。現在のところ、体内への2,2´-アゾビスイソブチロニトリルの吸収と排出に関する知見はありません。

影 響 (独)製品評価技術基盤機構及び(財)化学物質評価研究機構の「化学物質の初期リスク評価書」では、呼吸から2,2´-アゾビスイソブチロニトリルを取り込んだ場合のNOAEL等は得られていませんが、肝細胞の肥大が認められたラットの実験におけるNOAELと大気中濃度の推計値を用いて、人の健康影響を評価しており、現時点では人の健康について悪影響を及ぼすことはないと判断しています1)。なお、同評価書では、食物や飲み水を通じて口から取り込むことはないとしています1)

■生態影響

 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、ミジンコの繁殖阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.022 mg/Lとしています2)。この環境リスク初期評価を行った時点では、河川や海域の水中濃度について十分な測定データが得られておらず、PNECの値が低いため、水中濃度の把握が必要としていましたが2)、最近の測定における河川や海域の水中濃度はこのPNECよりも十分に低いものでした。なお、2,2´-アゾビスイソブチロニトリルは藻類に対する有害性からPRTR制度の対象物質に選定されていますが、上記のPNECは藻類の有害性から導くPNECより低い値です。
 なお、(独)製品評価技術基盤機構及び(財)化学物質評価研究機構の「化学物質の初期リスク評価書」でも、ミジンコの繁殖阻害を指標として水生生物に対する影響について評価を行っており、河川水中濃度がゼロと推定されることから、現時点では環境中の水生生物へ悪影響を及ぼすことはないと判断しています1)

性 状 白色の固体 
生産量
(2010年)
国内生産量:公表データなし
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.018トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 72 大気 4
事業所(届出外) 28 公共用水域 96
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.013トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:約6.1トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 91
プラスチック製品製造業 8
ゴム製品製造業 1
PRTR対象
選定理由
生態毒性(藻類)
環境データ

公共用水域

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/18検体(検出下限値0.00004 mg/L);[2006年度,環境省]3)

底質

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/15検体(検出下限値0. 1 mg/kg);[1979年度,環境省]3)
適用法令等

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献

  • (独)製品評価技術基盤機構・(財)化学物質評価研究機構「化学物質の初期リスク評価書Ver.1.0」((独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託事業、2007年公表)
    http://www.safe.nite.go.jp/risk/files/pdf_hyoukasyo/013riskdoc.pdf
  • 化学工業日報社『16112の化学商品』(2012年1月発行)