リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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o-アニシジン

別   名 2-アニシジン、o-メトキシアニリン、o-アミノアニソール
PRTR政令番号 1-17 (旧政令番号:1-14)
C A S 番 号 90-04-0
構 造 式 o-アニシジン構造式
  • o-アニシジンは、各種染料の原料として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.002トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて河川や海などへ排出されました。

■用途

 o-アニシジンは、水に溶けやすく、常温で薄黄色の液体で、揮発性物質です。空気にふれると褐色味を帯びます。o-アニシジンは、各種の染料の原料として使われています。o-アニシジンを原料として作られる染料には、繊維染料などに用いられるファストレッド、オイルやワックスなど工業用製品の着色に使われるスーダンレッド、塗料に用いられるクロムファストイエローなどがあります。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.002トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが中小の事業所などから排出されたもので、すべて河川や海などへ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約1.3トン、下水道へ約0.007トンが移動されました。

■環境中での動き

 大気中へ排出されたo-アニシジンは、化学反応によって分解され、2〜3時間で半分の濃度になると計算されています1)2)。環境水中での動きについては報告がありませんが、化審法の分解度試験では、微生物分解はされやすいとされています1)2)

■健康影響

毒 性 o-アニシジンは、マウスを使った変異原性の試験において陽性を示したと報告されています3)。発がん性については、実験動物では発がん性が認められるものの、人の発がん性に関しては十分な証拠がないため、国際がん研究機関(IARC)ではo-アニシジンをグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)に分類しています4)

体内への吸収と排出 人がo-アニシジンを体内に取り込む可能性があるのは、飲み水などによると考えられます。現在のところ、体内へのo-アニシジンの吸収と排出に関する知見はありません。

影 響 これまでの測定では、大気中や河川などからo-アニシジンは検出されていません。また、人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていません。

■生態影響

 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、ミジンコの繁殖阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.0025 mg/Lとしています1)。これまで得られた河川や海域の水中濃度はこのPNECよりも十分に低いため、この結果に基づけば水生生物への影響は小さいと考えられます。

性 状 薄黄色の液体 水に溶けやすい 揮発性物質
生産量5)
(2010年)
国内生産量:約150トン(推定)
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.002トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 0 大気
事業所(届出外) 100 公共用水域 100
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0トン(1 kg未満) 業種別構成比(上位5業種、%)
全体の届出排出量が1 kg未満のため省略します
事業所(届出)における移動量:約1.3トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 99 下水道への移動 1
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
発がん性,変異原性,作業環境許容濃度,生態毒性(甲殻類)
環境データ

大気

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/51検体(検出下限値0.0005 mg/m3);[1990年度,環境省]6)

公共用水域

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/9検体(検出下限値0.0000098 mg/L);[2005年度,環境省]6)
  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/40地点(検出下限値0.000015 mg/L);[2003年度,環境省]7)

地下水

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/10地点(検出下限値0.000015 mg/L);[2003年度,環境省]7)

底質

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/9検体(検出下限値0.0033 mg/kg);[2005年度,環境省]6)

生物(魚)

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/54検体(検出下限値0.002 mg/kg);[1990年度,環境省]6)
適用法令等
  • 大気汚染防止法:揮発性有機化合物(VOC)として測定される可能性のある物質
  • 日本産業衛生学会勧告:作業環境許容濃度0.5 mg/m3(0.1 ppm)

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献