リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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2-クロロニトロベンゼン

別   名 o-クロロニトロベンゼン、o-ニトロクロロベンゼン、2-クロロ-1-ニトロベンゼン
PRTR政令番号 1-112 (旧政令番号: − )
C A S 番 号 88-73-3
構 造 式 2-クロロニトロベンゼン構造式
  • 2-クロロニトロベンゼンは、アゾ染料の原料として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.092トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。

■用途

 2-クロロニトロベンゼンは、常温で黄色の固体ですが、32〜33℃に温度が上昇すると溶けて油状の液体になります。アゾ染料の原料として使われています。2-クロロニトロベンゼンは、同じくアゾ染料の原料であるp-ニトロクロロベンゼンの異性体です。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.092トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが化学工業の事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約0.78トンが移動されました。

■環境中での動き

 環境中へ排出された2-クロロニトロベンゼンは、大気中では蒸気として存在すると考えられます1)。大気中では化学反応によって分解され、94日で半分の濃度になると計算されています1) 。また、光によっても分解される可能性があります1)
 水中に入った場合は、水中の懸濁物質(水中の粒子)や水底の泥に吸着されると予想され、主に大気中へ揮発することによって失われると考えられます1)。揮発によって半分の濃度になる時間は、河川では80時間、湖では40日と見積もられています1)加水分解はされません1)。また、化審法の分解度試験では、微生物分解はされにくいとされています 2)
 土壌へ排出された場合は、土壌への吸着性からある程度は移動すると考えられます1)。湿潤土壌の表面から大気中への揮発は起こりますが、乾いた土壌表面からの大気中への揮発は想定されません1)。土壌中での微生物分解は遅いと思われます1)

■健康影響

毒 性 2-クロロニトロベンゼンは、目を軽度に刺激し、血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがあるとされています3)

体内への吸収と排出 人が2-クロロニトロベンゼンを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸や飲み水などによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、ラットやウサギの実験によると、代謝物に変化し、主に尿に含まれて、一部はふんに含まれて排せつされ、ウサギの実験では、48時間以内に完全に排せつされたと報告されています1)

影 響 これまでの測定では、2-クロロニトロベンゼンは大気、河川や地下水などから検出されていません。人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていません。

■生態影響

 2-クロロニトロベンゼンは、魚類に対する有害性から PRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では信頼できる水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)はまだ算定されていません。

性 状 黄色の固体
生産量4)
(2010年)
国内生産量:約7,500トン(推定)
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.092トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 100
事業所(届出外) 公共用水域
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.092トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:約0.78トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
生態毒性(魚類)
環境データ

大気

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/27検体(検出下限値0.0000012 mg/m3);[2008年度,環境省]5)

公共用水域

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/40地点(検出下限値0.00001 mg/L);[2002年度,環境省]6)
  • 化学物質環境実態調査:検出数0/24検体(検出下限値0.0000023 mg/L);[2007年度,環境省]5)

地下水

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/10地点(検出下限値0.00001 mg/L);[2002年度,環境省] 6)

底質

  • 要調査項目存在状況調査:検出数0/30地点(検出下限値0.001 mg/kg);[2002年度,環境省] 7)
  • 化学物質環境実態調査:検出数0/45検体(検出下限値0.00022 mg/kg);[2008年度,環境省]5)

生物(魚)

  • 化学物質環境実態調査:検出数;0/138検体(検出下限値0.0075 mg/kg);[1991年度,環境省] 5)
適用法令等

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献

  • 化学工業日報社『16112の化学商品』(2012年1月発行)