リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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1,1-ジメチルヒドラジン

別   名 ジマジン、ジメチルヒドラジン(非対称)
PRTR政令番号 1-226 (旧政令番号2-43)
C A S 番 号 57-14-7
構 造 式 1,1-ジメチルヒドラジン構造式
  • 1,1-ジメチルヒドラジンは、合成繊維・合成樹脂の安定剤、医薬・農薬や界面活性剤の原料などとして使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.003トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。

■用途

 1,1-ジメチルヒドラジンは、常温で無色透明の液体で、水に溶けやすい揮発性物質です。合成繊維・合成樹脂の安定剤、医薬・農薬の原料や界面活性剤の原料として使われています。また、ロケットの推進薬にも使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.003トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが化学工業の事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約0.008トンが移動されました。

■環境中での動き

 大気中へ排出された1,1-ジメチルヒドラジンは、化学反応によって分解され、2.8〜13時間で半分の濃度になると計算されています1)。環境水中では一部は水面から大気に移行しますが、主に水中に溶け込んでいる酸素によって分解されると考えられています1)化審法の分解度試験では、微生物分解はされにくいとされています1)

■健康影響

毒 性 1,1-ジメチルヒドラジンは、多くの変異原性の試験において陽性を示したと報告されています1)。また、マウスやハムスターの実験で腫瘍の増加などが認められており1)国際がん研究機関(IARC)は1,1-ジメチルヒドラジンをグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)に分類しています。
 なお、労働安全衛生法による管理濃度、日本産業衛生学会による作業環境許容濃度は設定されていませんが、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)は1日8時間、週40時間の繰り返し労働における作業者の許容濃度を0.025 mg/m3と勧告しています。

体内への吸収と排出 人が1,1-ジメチルヒドラジンを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸などによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、ラット、ネコ、イヌ及びサルの実験によると、投与された部位から速やかに吸収され、大部分が尿や呼気に含まれて排せつされたと報告されています1)

影 響 1,1-ジメチルヒドラジンの環境中の濃度の測定結果はなく、また人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていません。

■生態影響

 1,1-ジメチルヒドラジンは、魚類に対する有害性からもPRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)はまだ算定されていません。

性 状 無色透明の液体   水に溶けやすい   揮発性物質
生産量2)
(2010年)
国内生産量:約200トン
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.003トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 100
事業所(届出外) 公共用水域
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.003トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:約0.008トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
変異原性,発がん性,作業環境許容濃度,生態毒性(魚類)
環境データ
適用法令等

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献

  • 化学工業日報社『16112の化学商品』(2012年1月発行)