リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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作成年: 2012年

アセトンシアノヒドリン

別   名 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンニトリル
管理番号 14
PRTR政令番号 1-018(化管法施行令(2021年10月20日公布)の政令番号)
C A S 番 号 75-86-5
構 造 式 アセトンシアノヒドリン構造式
  • アセトンシアノヒドリンは、主にメタクリル酸やメタクリル酸エステルの製造原料として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約1.1トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。

■用途

 アセトンシアノヒドリンは、常温で無色透明または薄い黄色の液体で、揮発性物質です。水に溶けやすく、水分があると自然に分解して、アセトンとシアン化水素になります。また、杏仁豆腐のような特徴的な香りがあります。
 アセトンシアノヒドリンは、アクリル樹脂の原料などに用いられるメタクリル酸やメタクリル酸エステルの製造原料として主に使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約1.1トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが化学工業の事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。なお、廃棄物や下水道への事業所からの移動はありませんでした。

■環境中での動き

 環境中へ排出されたアセトンシアノヒドリンは、大気中では化学反応によって分解され、14日で半分の濃度になると計算されています1) 。水中に入った場合は、急速に加水分解され、大気中へ揮発したり、水中の粒子や水底の泥などには吸着することはないと考えられます。1)。土壌へ排出された場合は、水分によって急速に分解されるほか、大気中へ揮発することも考えられます1)

■健康影響

毒 性 アセトンシアノヒドリンは、分解して生成されるシアン化水素による影響が考えられます2)。アセトンシアノヒドリンを取り扱う作業現場における事故によって、意識喪失やけいれんなどの事例や、中枢神経系への刺激の可能性が報告されています3)

体内への吸収と排出 人がアセトンシアノヒドリンを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸などによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、急速に加水分解されて、アセトンとシアン化水素になるとされています4)

影 響 アセトンシアノヒドリンの環境中の濃度に関する測定結果はなく、また人の健康への影響を評価できる情報も現在のところ報告されていません。

■生態影響

 アセトンシアノヒドリンは、ミジンコに対する有害性からPRTRの対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)は算定されていません。

性 状 無色透明または薄い黄色の液体 水に溶けやすい 揮発性物質
生産量
(2010年)
国内生産量:公表データなし
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約1.1トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 100
事業所(届出外) 公共用水域
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約1.1トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:−トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
PRTR対象
選定理由
生態毒性(甲殻類)
環境データ
適用法令等
  • 大気汚染防止法:揮発性有機化合物(VOC)として測定される可能性がある物質
  • 水道法:水道水質基準値0.01 mg/L(シアン化物イオン及び塩化シアンとして設定)
  • 水質環境基準(健康項目):検出されないこと(定量限界0.1 mg/L) (全シアンとして設定)
  • 地下水環境基準:検出されないこと(定量限界0.1 mg/L) (全シアンとして設定)
  • 水質汚濁防止法:有害物質,排出基準1 mg/L以下(シアン化合物)
  • 土壌汚染対策法:土壌溶出量基準 検出されないこと,土壌含有基準50 mg/kg以下(遊離シアンとして設定)
  • 海洋汚染防止法:有害液体物質Y類

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献