リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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作成年: 2012年

1-ノナノール

別   名 1-ノニルアルコール、n-ノニルアルコール、ノナノール
管理番号 319
PRTR政令番号 1-362(化管法施行令(2021年10月20日公布)の政令番号)
C A S 番 号 143-08-8
構 造 式 1-ノナノール構造式
  • 1-ノナノールは、可塑剤、香料や界面活性剤の原料として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.085トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。

■用途

 1-ノナノールは、常温で無色透明の液体で、揮発性物質です。他の化学物質の原料として用いられ、可塑剤、香料や界面活性剤の原料として使われています。
 また、1-ノナノールは、オレンジやキウイフルーツなどの植物に含まれる揮発性物質でもあります。食品添加物の香料に指定されている脂肪族高級アルコール類の一種で、食品添加物にも使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.085トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが燃料小売業と化学工業の事業所から排出されたもので、すべて大気中へ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約0.09トン、下水道へ約0.001トンが移動されました。

■環境中での動き

 大気中へ排出された1-ノナノールは、化学反応によって分解され、4.6〜46時間で半分の濃度になると計算されています1)。水中に排出された場合の動きについては、1-ノナノールに関する試験結果はありませんが、類似の物質(トリデシルアルコール、1-オクタノール)の試験結果から、微生物分解はされやすいと推定されています1)

■健康影響

毒 性 人の健康への影響に関する報告はありません。

体内への吸収と排出 人が1-ノナノールを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸や食物などによると考えられます。現在のところ、体内への1-ノナノールの吸収と排出に関する知見はありません。

影 響 大気中や河川などから1-ノナノールは検出されていますが、人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていません。

■生態影響

 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、藻類の生長阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.0031 mg/Lとしています1)。河川の水中濃度はこのPNECを下まわっているものの、十分に低いとはいえないため、情報収集に努める必要があるとしています1)。なお、1-ノナノールは、魚類に対する有害性からPRTR制度の対象物質に選定されていますが、上記のPNECは魚類の有害性から導くPNECより低い値1)で、より安全側に立った評価値として設定されています。

性 状 無色透明の液体   揮発性物質
生産量2)
(2010年)
国内生産量:約120,000トン(本物質及び3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコールの合計。推定)
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.085トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 100
事業所(届出外) 公共用水域
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.085トン 業種別構成比(上位5業種、%)
燃料小売業 78
化学工業 22
事業所(届出)における移動量:約0.091トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 99 下水道への移動 1
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
生態毒性(魚類)
環境データ

大気

  • 化学物質環境実態調査:検出数14/18検体,最大濃度0.000081 mg/m3;[1995年度,環境省]3)

公共用水域

  • 要調査項目存在状況調査:検出数46/50地点,最大濃度0.0003 mg/L;[2001年度,環境省] 4)

底質

  • 化学物質環境実態調査:検出数3/30検体,最大濃度0.392 mg/kg;[1995年度,環境省]3)
適用法令等
  • 大気汚染防止法:揮発性有機化合物(VOC)として測定される可能性がある物質
  • 食品衛生法:食品添加物,脂肪族高級アルコール(着香の目的以外に使用してはな.らない)
  • 海洋汚染防止法:有害液体物質Y類

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献