リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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作成年: 2012年

o-フェニルフェノール

別   名 2-フェニルフェノール、OPP
管理番号 346
PRTR政令番号 1-388(化管法施行令(2021年10月20日公布)の政令番号)
C A S 番 号 90-43-7
構 造 式 o-フェニルフェノール構造式
  • o-フェニルフェノールは、シロアリ防除剤、殺菌剤、防腐剤として使われるほか、合成繊維の染色キャリアや、合成樹脂の原料などとして使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約12トンでした。ほとんどがシロアリ防除剤の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。

■用途

 o-フェニルフェノールは、常温で白色の固体です。シロアリ防除剤、殺菌剤、防腐剤や防かび剤として使われるほか、合成繊維の染色キャリア(合成繊維に対して染着を促進するためのもの)や、合成樹脂可塑剤、染料や界面活性剤などの原料として使われています。失効農薬ですが、輸入かんきつ類の防かび目的で食品添加物に認可されています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約12トンが環境中へ排出されたと見積もられています。ほとんどがシロアリ防除剤の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。この他、化学工業などの事業所から廃棄物として約26トン、下水道へ約2.6トンが移動されました。

■環境中での動き

 環境中へ排出されたo-フェニルフェノールは、大気中へ排出された場合は、蒸気として存在すると考えられます1) 。大気中では化学反応によって分解され、1.4時間で半分の濃度になると計算されています1) 。また、光によって分解されることも考えられます1)
 水中に入った場合は、水中の懸濁物質(水中の粒子)や水底の泥に吸着されると予想され、微生物分解や大気中へ揮発することによって失われると考えられます1)。微生物分解による半減期は河川では1週間とされています1)加水分解はされません1)
 土壌中では、乾燥した土壌表面からは大気中へ揮発されませんが、湿った土壌表面からは揮発することによって失われると予想されます1)。また、化審法の分解度試験では、微生物分解はされやすいとされており2)、環境中で微生物による分解も考えられます1)

■健康影響

毒 性 o-フェニルフェノールは、変異原性に関するラットの生体内試験において陽性を示したと報告されています3)。発がん性について、国際がん研究機関(IARC)o-フェニルフェノール塩をグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)、o-フェニルフェノールをグループ3(人に対する発がん性については分類できない)に分類しています4)
 これに関して、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同残留農薬専門家会議(JMPR)は、o-フェニルフェノールは人への発がん性リスクはおそらく示さないと判断しており、また、変異原性に関しても未解決の課題があるとしています4)
 ラットにo-フェニルフェノールを2年間、飲み水に混ぜて与えた実験では、体重減少や膀胱上皮の過形成、膀胱がんが認められ、この実験結果から求められる口から取り込んだ場合のNOAEL(無毒性量)は、体重1 kg当たり1日39 mgでした4)。この結果からJMPRは、o-フェニルフェノールのADI(一日許容摂取量)を体重1 kg当たり1日0.4 mgと算出しています4)

体内への吸収と排出 人がo-フェニルフェノールを体内に取り込む可能性があるのは、呼吸、食物や飲み水、あるいは皮膚にふれることによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、ボランティアの人による試験では、24時間以内にほとんどすべてが、代謝されないままあるいは代謝物に変化して、尿に含まれて排せつされたと報告されています5)

影 響 過去の測定では、o-フェニルフェノールは河川などから検出されていませんが、魚から検出された例があります。

■生態影響

 o-フェニルフェノールは藻類に対する有害性からもPRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)は算定されていません。

性 状 白色の固体
生産量
(2010年)
国内生産量:公表データなし
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約12トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 0 大気 0
事業所(届出外) 公共用水域
非対象業種 100 土壌 100
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.002トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:約29トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 91 下水道への移動 9
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 91
繊維工業 9
PRTR対象
選定理由
変異原性,生態毒性(藻類)
環境データ

公共用水域

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/30検体(検出下限値0.000008 mg/L);[1999年度,環境省]6)

底質

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/36検体(検出下限値0.0068 mg/kg);[1999年度,環境省]6)

生物(魚)

  • 化学物質環境実態調査:検出数;1/33検体,最大濃度0.013 mg/kg;[1999年度,環境省]6)
適用法令等
  • 食品衛生法:残留農薬基準 例えば,大麦0.5 ppm,かんきつ類10 ppm

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献