リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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作成年: 2012年

N,N´-プロピレンビス(ジチオカルバミン酸)と亜鉛の重合物

別   名 プロピネブ
管理番号 378
PRTR政令番号 1-419(化管法施行令(2021年10月20日公布)の政令番号)
C A S 番 号 12071-83-9
構 造 式 N,N´-プロピレンビス(ジチオカルバミン酸)と亜鉛の重合物構造式
  • N,N´-プロピレンビス(ジチオカルバミン酸)と亜鉛の重合物は、プロピネブとも呼ばれ、殺菌剤の有効成分(原体)として畑や果樹園で農薬に使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約150トンでした。ほとんどが農薬の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。

■用途

 N,N´-プロピレンビス(ジチオカルバミン酸)と亜鉛の重合物(以下「プロピネブ」と表記します)は、常温で白色から淡黄色の固体で、水に溶けにくい物質です。野菜や果樹の病害を防ぐ殺菌剤として使われる農薬の有効成分(原体)として、通常、水和剤製剤化したものを、水で数百倍にうすめて使われています。
 プロピネブは、耐雨性がよく、温度や光による 分解がゆっくりと進むため、効果が長く続きます。炭そ病、斑点落葉病、黒点病などの幅広い病原菌に対して有効で、イチゴ、スイカ、リンゴ、ナシなどに用いられています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約150トンが環境中へ排出されたと見積もられています。ほとんどが農薬の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約2.3トンが移動されました。

■環境中での動き

 土壌へ排出されたプロピネブは、わが国における野外実験では半分の濃度になるには20日間かかったとの報告がありますが、同様の実験で2〜8日で半分の濃度になったと報告されているほか、研究室内の実験では1日以内〜9日で半分の濃度になったと報告されており1)、比較的速やかに他の物質に代謝されたり、二酸化炭素に分解されると考えられます1)

■健康影響

毒 性 ラットに62日間、プロピネブを口から与えた実験では、甲状腺重量の増加、チロキシン(代謝促進作用の働きがある甲状腺ホルモンのひとつ)の濃度に変化が認められ、この実験結果から求められる口から取り込んだ場合のNOAEL(無毒性量)は、体重1 kg当たり1日0.74 mgでした2)
 この実験結果に基づいて、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同残留農薬専門家会議(JMPR)は、プロピネブのADI(一日許容摂取量)を体重1 kg当たり1日0.007 mgと算出しています2)

体内への吸収と排出 人がプロピネブを体内に取り込む可能性があるのは、食物や飲み水によると考えられます。体内に取り込まれた場合は、ラットの実験によると、代謝物に変化し、尿やふんに含まれて排せつされ、4日以内に99%が除去されたと報告されています2)

影 響 食物からのプロピネブの摂取量に関する情報は現在のところ得られていません。また、環境中の濃度に関する測定結果もありません。

■生態影響

 プロピネブは、藻類に対する有害性からもPRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)は算定されていません。

性 状 白色から淡黄色の固体   水に溶けにくい
生産量3)
(2010年)
国内生産量:約190トン(水和剤)
輸 入 量:約230トン(製剤)
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約150トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 0 大気
事業所(届出外) 公共用水域 0
非対象業種 100 土壌 100
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.001トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
事業所(届出)における移動量:約2.3トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
経口慢性毒性生態毒性(藻類)
環境データ
適用法令等
  • 食品衛生法:残留農薬基準(ジチオカルバメート;ジネブ,ジラム,チラム,ニッケルビス(ジチオカーバメート),フェルバム,プロピネブ,ポリカーバメート,マンコゼブ,マンネブ及びメチラムを二硫化炭素含量に換算したものの総和) 例えば,米(玄米)0.3 ppm,ばれいしょ0.2 ppm
  • 農薬取締法:登録農薬

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。
※本物質の生産量は2010年農薬年度(2009年10月〜2010年9月)のものです。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献

  • 化学工業日報社『16112の化学商品』(2012年1月発行)
  • (社)農山漁村文化協会『農薬便覧第10版(CD-ROM)』
  • (社)農山漁村文化協会「アントラコール顆粒水和剤」
    http://lib.ruralnet.or.jp/nouyaku/NB177/NBH20145.htm

■適用作物に関する情報