[この文書を印刷される場合はこちら(PDF)] 作成年: 2012年 |
N‐メチルカルバミン酸1‐ナフチル
■用途 N-メチルカルバミン酸1-ナフチル(以下「カルバリル」と表記します)は、常温で白色の固体で、殺虫剤として使われている農薬の有効成分(原体)です。通常、水和剤、乳剤や粒剤として製剤化されています。 ■排出・移動2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約79トンが環境中へ排出されたと見積もられています。主に農薬の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。家庭からも、園芸用殺虫剤の使用に伴って排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約1.1トンが移動されました。 ■環境中での動き環境中のカルバリルの分解は、蒸発、光分解、土壌中・水中や植物中における化学的および微生物分解の程度により決定され、暑い気候条件下ではより分解が早いとされています1)。土壌中では通常の条件では8日から1カ月で半分の濃度になるとされています1)。水中では主に加水分解によって分解されますが、温度、pHやカルバリルの濃度によって分解速度は変わり、数分から数週間で半分の濃度になるとされています1)。 ■健康影響毒 性 マウスにカルバリルを2年間、餌に混ぜて与えた実験では、雄に腎尿細管細胞がんなどが認められ、この実験結果から求められる口から取り込んだ場合のLOAEL(最小毒性量)は、体重1 kg当たり15 mgでした2)。この実験結果に基づいて、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同残留農薬専門家会議(JMPR)は、カルバリルのADI(一日許容摂取量)を体重1 kg当たり1日0.008 mgとしています2)。 水道水質管理目標値は、ADIを体重1 kg当たり1日0.02 mgとして、これに基づいて設定されています3)。 なお、国際がん研究機関(IARC)は、発がん性に関して、人におけるがんのデータはなく、実験動物における発がん性の証拠は不十分として、カルバリルをグループ3(人に対する発がん性については分類できない)に分類しています1)。 体内への吸収と排出 人がカルバリルを体内に取り込む可能性があるのは、食物や飲み水によると考えられます。体内に取り込まれた場合は、動物実験では、代謝物に変化し、一部は代謝されないまま、尿またはふんに含まれて排せつされたと報告されています2)。 影 響 厚生労働省が行っている「食品中の残留農薬の一日摂取量調査結果」によると、カルバリルの平均1日摂取量は0.00209〜0.00448 mgと推計されています4)。これは、体重50 kg換算のADI(体重1 kg当たり1日0.02 mg)の0.21〜0.45%に相当します。また、水道水、河川や地下水から水道水質管理目標値を超える濃度のカルバリルは検出されておらず、食物や飲み水を通じて口から取り込むことによる人の健康への影響は小さいと考えられます。 ■生態影響カルバリルは、甲殻類に対する有害性からもPRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)は算定されていません。
注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。 ■引用・参考文献
■用途に関する参考文献
■適用作物に関する情報
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