リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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サリチルアルデヒド

別   名 2-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシベンゼンアルデヒド
PRTR政令番号 1-136 (旧政令番号:1-104)
C A S 番 号 90-02-8
構 造 式 サリチルアルデヒド構造式
  • サリチルアルデヒドは、農薬や医薬品の原料、検出試薬、合成香料の原料に使われています。特有の臭気があります。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約0.025トンでした。すべてが事業所から排出されたもので、主に大気中へ排出されたほか、河川や海などへも排出されました。

■用途

 サリチルアルデヒドは、常温で無色透明の液体で、揮発性物質です。ビターアーモンドのような特有の臭気があります。農薬や医薬品の原料に使われるほか、銅やニッケルの検出試薬、合成香料の原料に使われています。
 また、サリチルアルデヒドはバラ科の植物など天然物中に含まれ、トマト、グレープ、シナモン、コーヒーやお茶などの臭いの成分としても存在しています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約0.025トンが環境中へ排出されたと見積もられています。すべてが化学工業やプラスチック製品製造業などの事業所から排出されたもので、主に大気中へ排出されたほか、河川や海などへも排出されました。この他、これらの事業所から廃棄物として約19トンが移動されました。

■環境中での動き

 大気中へ排出されたサリチルアルデヒドは、化学反応によって分解され、2.3〜23時間で半分の濃度になると計算されています1)。環境水中での動きについては報告がありませんが、化審法の分解度試験では、微生物分解はされやすいとされています2)

■健康影響

毒 性 雌のラットに体重1 kg当たり1日160 mgのサリチルアルデヒドを49日間、餌に混ぜて与えた実験では、肝臓重量の増加、卵巣重量の減少が示され、雄のラットに体重1 kg当たり1日40 mgを餌に混ぜて与えた実験では、肝細胞内のグリコーゲン量のわずかな増加が示されていますが、体重や摂餌量、一般状態などに影響は認められていません3)

体内への吸収と排出 人がサリチルアルデヒドを体内に取り込む可能性があるのは、飲み水や食物などによると考えられます。体内に取り込まれた場合は、生体内でサリチル酸に酸化されると報告されています2)

影 響 人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていませんが、これまでの測定では、河川などから水道水質基準値を超える濃度のサリチルアルデヒドは検出されていません。

■生態影響

 環境省の「化学物質の環境リスク初期評価」では、ミジンコの繁殖阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.0038 mg/Lとしています1)。この環境リスク初期評価が行われた時点では、水中濃度について十分な測定データが得られておらず、水生生物への影響は評価できていませんでした1)。最近の測定における河川や海域の水中濃度は、このPNECよりも十分に低いものでした。
 なお、サリチルアルデヒドは魚類に対する有害性からPRTR制度の対象物質に選定されていますが、上記のPNECは魚類の有害性から導くPNECより低い値1)で、より安全側に立った評価値として設定されています。

性 状 無色透明の液体  揮発性物質
生産量
(2010年)
国内生産量:公表データなし
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約0.025トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 100 大気 89
事業所(届出外) 0 公共用水域 11
非対象業種 土壌
移動体 埋立
家庭 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約0.025トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 68
プラスチック製品製造業 32
事業所(届出)における移動量:約19トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 100 下水道への移動
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
プラスチック製品製造業 0
PRTR対象
選定理由
生態毒性(魚類)
環境データ

水道水

  • 原水・浄水水質試験:水道水質基準超過数(フェノール類として測定);原水0/5202地点,浄水0/5386地点;[2009年度,日本水道協会]4)5)

公共用水域

  • 化学物質環境実態調査:検出数0/15検体(検出下限値0.000013 mg/L);[2007年度,環境省]6)
適用法令等
  • 大気汚染防止法:揮発性有機化合物(VOC)として測定される可能性のある物質
  • 水道法:水道水質基準0.005 mg/L以下(臭味防止の観点からフェノール類として設定)
  • 水質汚濁防止法:排水基準5 mg/L(フェノール類含有量として設定)

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献